アーレンシンドロームとディスレクシア セルフテスト有

 

 

このブログをお読みの保護者の皆さんや教育関係者の方々はお子様や担当の生徒がディスレクシアではないかと疑いを持たれているかと思います。

 

あるいはすでにその診断が下されている場合もかもしれません。本読みに時間がかかったり、漢字が読めなかったりと、うちの子は読むことが苦手かもしれないと→インターネットでその原因を調べて→ディスレクシア(読み書き困難・読み書き障害)またはLD(学習障害)かもしれない感じている方も多いでしょう。

 

しかし、読みの困難がディスレクシアに由来すると限らず他にも原因が考えられ、その一つがアーレンシンドロームと呼ばれるものです。

 

アーレンシンドロームの症状は一見ディスレクシアに似ているかもしれませんが、その原因、症状、対応方法には大きな違いがあります。

 

このブログでは、アーレンシンドロームとディスレクシアの両方を詳しく掘り下げ、各々の違いを理解し、適切な対応方法を探るための情報を共有したいと思います。

 

 

 

アーレンシンドロームとは?

アーレンシンドロームは、オリーブ・アーレン(Olive Meares)とヘレン・アーレン(Helen Irlen)によって1980年代に初めて特定された視覚処理障害です。オリーブ・アーレンはニュージーランドの心理学者であり、ヘレン・アーレンはアメリカの教育心理学者です。彼女たちは、特定の光条件下で視覚的な歪みやストレスを経験する人々を観察し、この状態が特に学習環境において顕著な困難を引き起こすことを発見しました。

アーレンシンドロームの症状または特徴

アーレンシンドロームは、特に読書や長時間の画面使用時に顕著な症状を示します。この状態の人々は、次のような視覚的な問題を経験することがあります:

  • 文字が動いたり、跳ねたりする。
  • 文字がぼやけるまたは重なって見える。
  • 長時間読書すると目が疲れるまたは頭痛がする。
  • 明るい光や特定の照明の下で視覚的な不快感が増す。

 

 

 

ディスレクシアとは

ディスレクシアは、特定の言語関連の脳機能の違いにより引き起こされる学習障害で、読み、書き、言語の理解に困難を抱えることが特徴です。英語圏では5%から15%の生徒がディスレクシアであると研究結果が複数あります。

ディスレクシアの症状または特徴

  • 文字の識別: 文字や単語を認識するのが難しく、しばしば文字を逆に読んだり、似た形の文字を混同したりする。例:アルファベットの小文字bとdを混同する等。
  • 読み書きのスピード: 一般的な速度よりも読みが遅い。書く速度も遅れがち。。
  • 音韻認識の問題: 単語の音を分解し、それを再構築する能力に問題がある。音韻認識能力が低い場合、英語学習で困難が現れることが多い。
  • 読解困難: 文章を読んでも、その内容を理解するのが難しい。このため、学習内容を覚えるのに追加の時間と努力が必要。

 

 

アーレンシンドロームとディスレクシアの類似点と相違点

アーレンシンドロームとディスレクシアの類似点と相違点を理解することは、お子様へ適切なサポートを提供するために非常に重要です。

類似点:

  • 読書の困難: アーレンシンドロームもディスレクシアも、読書の困難を引き起こす。
  • 学習面での影響: どちらの障害も学習に影響を及ぼし、特に学校の成績に悪影響を与えることがある。
  • 個別のアプローチが必要: それぞれの障害には個別の対応が必要であり、一概に同じ方法が効果的であるとは限らない。

相違点:

  • 原因: アーレンシンドロームは視覚情報処理の問題、ディスレクシアは言語処理の障害。
  • 症状: アーレンシンドロームは視覚的歪みが特徴、ディスレクシアは言語理解に関する問題が主。
  • 対応法: アーレンシンドロームには特殊なフィルターやレンズが効果的、ディスレクシアには教育的アプローチが中心。

 

ちなみにKriss & Evans(2005)によると、ディスレクシアのある32人の子どもを対象にしたWRRT(Wilkins Rate of Reading Test)を使用した音読実験を通じて、ディスレクシアにおけるアーレンシンドロームの出現率が30~46%であることが報告されています。これは、ディスレクシアを持つ子供たちの中には、視覚情報処理に関連するアーレンシンドロームを持つ割合が比較的高いということを示しています。ディスレクシアとアーレンシンドロームが併発する可能性があるようです。

 

アーレンシンドロームへの対応方法

アーレンシンドロームの治療において使用される特殊なフィルターやレンズ、照明の調整は、視覚的ストレスを軽減し、読書やその他の視覚的タスクのパフォーマンスを向上させるために非常に重要です。こうした治療アプローチは、個々の患者の特定の視覚的ニーズに合わせてカスタマイズされます。

特殊なフィルターやレンズ

色付きフィルター

  • アーレンシンドロームの人々は、特定の色の光が視覚的なストレスを減少させるのに役立つことがあります。色付きのフィルターまたはレンズを使用することで、文字が踊る(動く)、ぼやける、または重なって見えるという症状を軽減できる場合があります。
  • これらのフィルターは、通常、眼鏡のレンズに直接取り付けるか、オーバーレイとして単独で使用します。

プリズムレンズ

  • プリズムレンズは光の屈折を調整し、視覚的な整列をサポートすることで、読書や物を見る際の目の負担を減らすのに役立ちます。
  • これらは、視覚情報を脳がより効率的に処理できるようにするために、視線の調整を助けます。

 

照明の調整

調光可能な照明

  • 強い照明は視覚的な不快感や疲労の原因となることがあります。アーレンシンドロームの患者にとって、環境の照明を調整できることは非常に重要です。
  • 調光機能を備えたランプや特定の色温度の光を使うことで、目のストレスを軽減し、読書や作業がしやすくなります。

非直接照明

  • 直接的な明るい光源よりも、間接照明や拡散照明が視覚的ストレスを減らすのに効果的です。デスクライトや天井の照明が直接目に入らないように配置することが推奨されます。

 

ディスレクシアの生徒へのアプローチはその他ブログにて詳しく説明したいと思います!

 

このようにアーレンシンドロームとディスレクシアは似たようでそのメカニズムは異なります。
もし、お子様がカラーレンズを用いることで読みやすくなった!と感じるようでしたら、それはアーレンシンドロームかもしれないですね。

 

 

では、どこでアーレンシンドロームは診断してもらえるかと言えば基本的には眼科です。

日本ではアーレンシンドロームを専門とするクリニックは現在オンラインで調べる限りないようですが、一部眼科が検査や診断等のサービスを提供しています。

 

お子様がアーレンシンドロームではないかとお考えの保護者様へ、一度以下のセルフテスト行ってみてはいかがでしょうか。短いものなのですぐに終わります。
このテストは診断を目的としたものではありませんが、アーレンシンドロームの可能性を示唆する参考としてご利用いただければと思います。

 

 

 


 

 

アーレンシンドローム セルフテスト

指示: 以下の各質問に対して、「はい」または「いいえ」で答えてください。このテストは診断を目的としたものではなく、症状の自己評価を目的としています。結果に基づいて専門家への相談を検討してください。

  • 長時間読書すると目が疲れますか?
  • 文字がぼやけたり、跳ねたり、動いたりすることがありますか?
  •  明るい光や蛍光灯の下で不快感を感じることがありますか?
  • 日光や室内の明るい照明が目に刺激的ですか?
  •  特定の背景色(特に白や明るい色)で文字を見ると、目の不快感や頭痛が起きることがありますか?
  • テレビ画面やコンピューターモニターを見ていると、目が疲れやすいですか?
  •  読んだ内容を覚えるのが難しいですか?
  • 文章を読む速度が遅い、または読み返さないと理解できないことが多いですか?
  •  長時間の視覚作業後に視界が歪むことがありますか?
  • 視覚的なタスクに集中することが困難ですか?

 

評価方法:

「はい」と答えた質問が多い場合、アーレンシンドロームの可能性があるかもしれません。このテストは診断ツールではないため、結果に基づいて専門家に相談し、必要に応じて正式な評価を受けることをお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一覧へ