ABCの歌と一緒に覚えてほしいこと
お子さんが初めて英語を習うとき、特に小さい年齢から英語教室へ通い始めると、まずABCの歌を習うことが多いのではないでしょうか。
「A、B、C、D、E、F、G……」
歌に合わせて楽しく覚えられるので、英語学習の入り口として親しみやすい方法です。
ただし、ABCの歌で覚えているのは、アルファベット一文字ずつの「名前」です。Aは「エイ」、Bは「ビー」、Cは「シー」というように、文字を何と呼ぶのかを学んでいます。
一方で、単語の中でそれぞれの文字がどのような「音」を表すのかは、ABCの歌だけでは十分に学べません。
では、Aという文字の「音」は何でしょうか。
Aには、appleの最初の音のような短母音 /æ/(アとエの間の音)や、cakeのような長母音 /eɪ/(エイ)などがあります。文字の名前は「エイ」と答えられても、「Aが単語の中で表す音は?」と聞かれると、大人でもすぐに説明するのは難しいかもしれません。
今回は、英語教育について扱うPodcast「Triple R Teaching」の内容をもとに、アルファベットの「名前」と「音」のどちらを先に教えるとよいのか、保護者向けに分かりやすく整理します。
まずは結論:名前・音・書き方を一緒に学ぶ
アルファベットの「名前」だけ、または「音」だけを先に覚えるのではなく、名前・音・書き方を関連づけながら一緒に学ぶのがよい、というのがPodcastで紹介されていた結論です。
例えばBなら、次の3つをセットにします。
- この文字の名前は「ビー」
- 単語の中では、bagの最初のような
/b/の音を表す - 書くときは、大文字がB、小文字がb
一度に完璧に覚える必要はありません。「これはB。名前はビー。音は /b/」と、見る・聞く・言う・書く経験を少しずつ重ねます。
アルファベットの名前を知るメリット
文字の名前は、その文字について話すためのラベルになります。
例えば、大人が「最後はKだよ」「BとDをよく見てみよう」と伝えるとき、子どもが文字の名前を知っていれば、どの文字のことか理解できます。
また、英語では文字の名前に、その文字が表す音が含まれている場合があります。例えばBの名前「ビー」には /b/、Dの名前「ディー」には /d/ の音が含まれています。そのため、文字名を知っていることが、音を覚える助けになる場合があります。
ただし、文字の名前だけを覚えても、単語を読めるようになるとは限りません。
単語を読むときに必要なのは「音」
例えば、catを読むときに使うのは、「シー・エイ・ティー」という文字の名前ではありません。それぞれの文字が表す音を順番につなげて、catと読みます。
英単語を自分で読み解くには、文字の名前だけでなく、「この文字はどのような音を表すのか」を知る必要があります。これが、フォニックスで学ぶ大切な部分です。
一方で、英語では一つの文字がいつも一つの音だけを表すとは限りません。例えばCは、catとcityで異なる音を表します。二つ以上の文字が組み合わさり、一つの音を表すこともあります。
そのため、「Aは必ずこの音」「Cは必ずこの音」と一度に決めつけるのではなく、まずよく使われる音から学び、少しずつ例外や別の読み方を増やしていきます。
家庭では、短い練習で十分です
名前・音・書き方を一度に教えると聞くと、「覚えることが増えて大変そう」と感じるかもしれません。でも、一度にたくさんの文字を練習する必要はありません。一日一文字、数分からでも始められます。
例えば、文字カードを一枚使って、次の順番で確認します。
- 文字を見せて、名前を言う
- その文字が表す代表的な音を聞く
- その音から始まる簡単な単語を一つ言う
- 指でなぞる、または紙に一、二回書く
大切なのは、何十回も書かせることではなく、「文字の形・名前・音」が子どもの中でつながるようにすることです。
もし混乱している様子があれば、全部を一度に答えさせなくてもかまいません。その日は名前だけ、次は音、最後に書き方を確認するなど、負担を小さく分けましょう。
名前・音・書き方を少しずつ身につけていくことが、英単語を自分で読み書きするための土台になります。
お子さんがアルファベットをなかなか覚えられなくても、努力不足とは限りません。どの部分で混乱しているのかを見ながら、教え方と練習量を調整してみてください。