ディスレクシアのある人々に配慮したドキュメント作成ガイド
このブログポストでは、ディスレクシアのある人々にも読みやすい文書作成の方法について解説します。特に、フォントの選び方やレイアウトの工夫について詳しく紹介します。
少し前にX(旧ツイッター)で、ある方が中学校英語の定期テストの問題用紙の写真をポストしていました。写真に写ったフォントは行間が狭く、全体的に丸みがあり、文字と文字が重なってしまうほど特徴的で非常に読みにくいものでした。
また、私がイギリスで大学院に通っていた時、教授はオールドファッションなスタイルの方で、教授私物の本をスキャンしたものをリーディングの宿題として出していました。しかし、スキャンが雑だったため、英文が波打つようになっていて非常に読みにくく、読んでいると酔ってくるほどでした。その結果、と第二言語であるため内容が頭に全く入ってこず、非常に苦労しました。(ちなみに大学院は学期終了後に各クラスのフィードバックを提出するのですが、その先生の授業で読みにくい旨を伝えたところ次の学期からは改善されていました!)
では、読みやすいフォントとはどのようなものでしょうか。アメリカやイギリスのディスレクシア協会が推奨する、ディスレクシアの人が比較的読みやすい文書の作成ガイドを以下にまとめました。基本的には英文の文書作成を想定していますが、日本語にも適用できる部分があります。
読みやすいフォント
- サンセリフフォント(ArialやComic Sansなど)を使用しましょう。これらのフォントは文字が密集しにくく、読みやすさが向上します。Verdana、Tahoma、Century Gothic、Trebuchet、Calibri、Open Sansもお勧めのフォントです。
- フォントサイズは12~14ポイントを推奨します。ディスレクシアの人によっては、これより大きなフォントが必要な場合もあります。
- 文字間(トラッキング)は、平均文字幅の約35%が理想的です。文字間が広すぎると読みづらくなることがあります。
- 単語間のスペースは、文字間のスペースの少なくとも3.5倍を確保してください。
- 行間を広くすると読みやすくなります。1.5倍(150%)の行間が適切です。
- 下線やイタリック体は避け、強調には太字を使用してください。
- すべて大文字の使用は避け、小文字を使用すると読みやすくなります。
- 見出しには、本文のテキストよりも少なくとも20%大きなフォントサイズを使用してください。
色とレイアウト
- 背景は単色を使用し、パターンや画像は避けましょう。
- 背景と文字の間には十分なコントラストが必要です。
- 暗い文字色を明るい背景(白ではない色)にしましょう。白よりもクリーム色ややわらかなパステル色が見やすいです。
- 印刷物には光沢のない厚めの紙を使用し、裏写りを防ぎます。
文章スタイル
- 受動態より能動態を用い、簡潔に表現しましょう。
- 長い文は避け、短くシンプルな文を心がけてください。
- 分かりやすい言葉を使い、日常的な表現を選びます。
- テキストの補助として画像や図表を活用します。
- ブレットポイントや番号付きリストを使用して、情報を整理しましょう。
- 指示は明確にし、二重否定や略語の使用は避け、必要な場合は略語の解説を付け加えてください。
このガイドラインを活用することで、ディスレクシアを持つ人々だけでなく、全ての読者にとって読みやすい文書を作成できます。学校のプリントや定期テスト作成時(特に英語科の先生方)は、ぜひ参考にしてください。